看護師に求められる糖尿病専門外来での専門性
糖尿病は、慢性疾患で治療に時間がかかるうえ、生活習慣病の中でも患者数が多い疾患です。一旦罹患すれば、日常生活においても頻繁にトイレに行ったり自力でインスリン注射を投与しなければならず、仕事などに著しい悪影響を与えてしまいます。糖尿病は、糖分の摂り過ぎなど生活習慣の乱れだけが原因というわけではありません。生まれつきの体質や遺伝も要因となるとされています。特に増えつつある小児糖尿病も大きな問題となっています。
糖尿病は、合併症を引き起こすと足の壊疽から切断を余儀なくされることもある他、さほど高血糖でなくても処置を誤れば重篤化することもあり、対処には専門的知識が欠かせません。腹部に患者自ら注射するインスリン投与についても、衛生面でのきめ細かい指導が必要です。極端に血糖値が上昇した場合などは入院治療を行うこともありますが、多くの場合は糖尿病専門外来に通院しながら回復を目指すことになります。このため、糖尿病専門外来の利用者は後を絶たず、専門医と看護師の不足が常態化していると言えるでしょう。
糖尿病専門医の不足をカバーするために、糖尿病に関する専門家の養成が急がれています。糖尿病看護認定看護師という資格は、看護師資格と実務経験を有する者が一定の研修を受ければ取得できる糖尿病の専門家の資格です。糖尿病看護認定看護師は、患者の自己管理を促し、個々の原因や状況に応じて適切な指導を行うことにより、早期回復を実現可能にする重要な役割を果たします。また、糖尿病の重症化を防ぐために、足の血行を促進させて壊疽を生じないようにするフットケアスキルも習得するなど、糖尿病対策に貢献しているのです。専門性の高い糖尿病治療の分野で看護師として活躍したい人は、糖尿病看護認定看護師という資格を目指してみると良いでしょう。